取材:Andrés Galisteo
撮影:Victoria Verdier
Bodega de los secretos(ボデガ・デ・ロス・セクレトス)
スペインの歴史を感じられる貴重なレストラン
スペイン中のD.Oワインを取り扱う『ボデガ・デ・ロス・セクレトス(Bodega de los secretos)』。
地下に潜むここは、〝隠れ家のような〟ではなく、本当に隠れ家だった場所です。
歴史は12世紀まで遡ります。
かつてここにはテンプル騎士団が集まっていたと言われていました。17世紀にはサンフェリペ修道院の修道士たちがこの空間でワインを熟成させ貯蔵していたとか。それから約100年後のナポレオン時代、そしてさらに200年後のスペイン内戦中には、この空間がシェルターとして利用され市民を守っていました。以前はここから総合病院へと続く道があったそうです。その総合病院は現在、ピカソの名画「ゲルニカ」を展示するソフィア王妃芸術センターに姿を変えています。
以前ワインの樽が置かれていたスペースが、今ではテーブル席に。古いインテリアによって、歴史を感じる趣がそのままに演出されています。そこへ、キッチンから地中海の食材を使ったモダンな料理が運ばれてきます。
一番人気は、カバとの相性がいい「スモークサーモンとうなぎ」(Salmón y anguila Carpier con cava Rimarts rosado.)。これを試さずにこのレストランからは帰れないと言われている名物料理です。フォアグラとイベリコ豚をアーティチョークで包んでいる一皿(Alcachofas con foie y el secreto)もおすすめです。マンゴーのキャビアとゴマをミックスした「赤マグロのタタキ」(Tataki de atún rojo con sésamo y caviar de mango)、 「牛肉のステーキ」(Steak tartar de buey)には、アジアンテイストも加えらえています。
魅力あるスペインワインを厳選
ワインはスペイン各地から取り寄せられているのですが、中でもこの店ではカタルーニャ産に注目を。というのも、オーナーがカタルーニャ出身であるため、とりわけカタルーニャの製品に思い入れが伺えるからです。例えば、小規模生産されているカタルーニャのカバや、コステルス・デル・セグレ産のワイン「ビロセル」など。
ドリンク以外にも、カタルーニャ産のものとしてはリェイダで採れた高品質のオリーブオが使われています。
食後にはモヒートのシャーベットで上品に食事を締めくくるのがおすすめです。
空間にも食事の楽しみ方にも独特のストーリーがあるレストラン。
定番とは違うマドリードを探るなら、ぜひこんな場所へ。
※この内容は2016年取材時のものです。営業時間やメニュー等の情報は変更される場合があります。