レティーロ公園横のモヤノ坂- Territorio Moyano
30軒もの古本スタンドが建ち並ぶ「モヤノ坂(Cuesta de Moyano)」。
マドリードに長く住む年配の方々なら、この道を知らないはずがありません。きっと一度は、そこで気になる本を目をとめたことがあるか、買ったことがあると言うでしょう。
モジャーノ坂には30軒もの本の売店が建ち並んでいます。それも、1925年からずっと、青空の下で。
木製の趣あるスタンドに、新刊も古本も、さまざまなジャンルの書籍が所狭しと置かれています。
時代が変わり、本を読む人は減り、いつしかこの道を通る人も減っていきました。今ではモジャー坂を知らない若者が多いのも事実です。しかし、マドリードの人たちがこの歴史ある本の道の文化を時代に埋もれさせてしまうことはありません。
2016年、ひと昔前の活気を取り戻そうと、本屋の店主たちとマドリード市の文化部が一体となり「テリトリオ・モヤノ」と名付けられたプロジェクトが立ち上げられました。
そして、ネット時代でも本を楽しめるようにとさまざまなアイデアが打ち出されています。
車が通らずのんびり歩けるこの道で立ち止まって本を手に取り、日陰に座ってくつろぎ、コーヒーも飲めるようにとオープンカフェも設置されました。
第1号店の本屋(La 1 de Moyano)は、ワークショップや文化的アクティビティを行うスペースとしての役目を担っています。ラジオ番組の収録が行われ、作家たちが出演していることもあります。店主がおすすめの本を紹介したり、子供向けの読み聞かせがあったり、コンサートが開かれるなど、毎週多様なイベントが企画されリピーターたちを飽きさせません。
「モヤノ坂」の由来と歩み
モヤノとは、字が読めない人もいた時代、教育を広めようと尽力した政治家の苗字です。
1774年にはこの場所にマドリード初の動物園がオープンしたという、そんな歴史のある土地でもあります。
この1本の道には、次世代へも伝えていきたい物語と文化がぎっしり詰まっているといえるでしょう。
インテリア小物として飾れるかわいい絵本や味わい深い古本もあるので、スペイン語がわからない人でも見て楽しめるのではないでしょうか。
売店の営業時間は、月〜金曜10:00〜20:00、土日祝10:00〜15:00、さまざまな企画が行われている第1号店「La 1 de Mayano」は金曜15:00〜20:00のみオープン。
王立植物園の脇にある道で、アトーチャ駅、レティーロ公園、プラド美術館のそば。
家族連れでも、一人でふらりと立ち寄ってみるにも、おすすめの場所です。
※この情報は2016年取材時のものです。営業時間や内容は変更される場合があります。
取材:María Arranz