取材:Noelia Santos
撮影:Álvaro de la Fuente
100年続いた名店の再スタート:La Duquesita
100年以上続いた老舗の名店が幕を閉じたその時、大きな存在を失ったことに地元のファンたちは大いに悲しみました。
2015年6月のこと。1914年にオープンした菓子店『ラ・ドュケシータ』が、3代目オーナー、ルイス・サンタマリア氏の引退と共に閉店してしまったのです。map
しかし、ほどなく奇跡は起こります。
動き出したのは、スペイン最高のパティシエといわれるオリオール・バラゲル。彼が、店を蘇らせるというのです。『エル・ブジ』のデザートシェフを務め、デザート界のピカソと称されたバラゲルが店の責任者に就くとなれば、これほど確かなことはありません。
オリオール・バラゲルが守る伝統のスイーツ
オリオール・バラゲルは、自身のチョコレート店をスペイン国内で展開しています。マドリードにあるのは、高級ブティックに美しいチョコが飾られている『ブティック・マドリード』。バルセロナにも彼の名前を冠した店がありますが、そのいずれとも『ラ・デュケシータ』は異なります。自身のブランドコレクションでは彫刻のような斬新な芸術作を生み出しているバラゲルが、この老舗店では先代へのリスペクトを忘れず、地元に愛されていた家庭的な味を再現しているのです。
レモンケーキ(tarta de limón)、黒い森のケーキ(Tarta selva negra)、オレンジピールチョコレート(Naranjines)、カステラのようなカルバジョネス(Carballones)、チョコレートがかかったパイ菓子パルメラ(Palmeras de chocolate)、シュークリーム(Lionesa)、シロップ漬けのスポンジケーキ・ピオノノ(Piononos)、ミルフィーユ(Milhojas)、セゴビアの伝統ケーキであるポンチェ(Ponche)など。
こうした定番のスイーツはそれぞれ伝統的なレシピのもと作られています。・・・といっても、世界に名をはせるオリオール・バラゲルがプロデュースする店ですから、それだけのはずはなく。もちろん、彼が得意とする独自のテイストも盛り込まれています。
クロワッサンは必食
まず、これを食べずにして彼の店を後にできない、といえるのが、クロワッサンです。2014年にスペインの最優秀クロワッサンに選ばれた最高峰のおいしさを誇るクロワッサン。バターの香ばしさがたまりません。
そして、4種のテクスチャーが1つになったチョコレートケーキもおすすめ。口の中で溶ける味の重なりが秀逸です。
店内にはイートイン・スペースがあり、昼はサンドイッチやクリームスープなどの軽食を食べることができます。カバも飲めるので、チョコレートと一緒に味わってみては。
最後に、美しい外観にも注目してください。ここの建物は文化遺産に指定されていて、佇まいも店のデザインも非常に趣があります。
スペインの歴史と文化を感じる、物語のある一軒。
おすすめです。
※この情報は2016年1月取材時のものです。サービス内容等は変更になる場合があります。